アンティーカ・ヴィネリア・ジュリアーノ

ANTICA VINERIA GIULIANO

ややクローズドな店構えながら実にオープンな伊太利亜的葡萄酒酒場

白金台の閑静な住宅地、扉を開けるとその中は、外の静けさとは対照的に適度な喧噪に満ちている。フロアの約3分の1を占めるＬ字形のカウンターには、軽い1品をつまみながらグラスを傾ける人、しっかりとしたメインを分け合いつつ、ワインを呷る人々etc...思い思いに過ごすゲストの姿が。

店名に使われている「ヴィネリア」という単語には、ワインに重きを置く、という思いが込められている。言うなればワインバー、だがこの店の場合は「葡萄酒酒場」と呼ぶのが似つかわしい、大らかな雰囲気が漂う。地下にいることを忘れさせる高い天井や、大きく弧を描いた梁といった装置もそうした空気に拍車を掛ける。それらに負けじと、中村陽一シェフの料理も地に足の着いた品揃い。

素材の旨みを存分に生かし、酸味や香りで輪郭を際立たせた料理はどれも一度食べたら忘れられないだろう。中には出身の京都から取り寄せた京野菜を巧みに使いこなしたひと皿もある。